Terry Talk
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◆素顔のテリー・ホールマン
今回ケアンズのフィッシングチャーターで丸3日間お世話になったのが、テリー・ホールマン
Terry Holman氏である。一連の釣行記でもすでに紹介したが、ここで改めてそのナイスなキャラクターを書きとめておきたい。
テリーは1952年、ケアンズ生まれの55歳。父も同業だったという電気工事関係の前職を経て、35歳でフィッシングガイドに転身。以降、キャリア20年を誇る敏腕ガイドとして、今も第一線で活躍している。
テリーはその風貌から、会う前はどこか気難しそうな印象を受けたが、実像は陽気なオージーそのもの。最盛期には年間で200日以上、日本人をガイドしたというから、おそらく相当に耳はいい。「マク、クダサーイ(=リールを巻いてください)」「アレー?(おさむちゃん風に)」「アリガトサーン(アホの坂田のマネで)」など、時折怪しい日本語を操るのは大目にみるとして(笑)、おそらく、テリーの高いコミュニケーション能力は日本からのどんなゲストにも適応できると思う。
実はテリーの英語も興味深かった。というのも、ボートランプなどで交わすローカルとの会話は全く聞きづらかったが、時々エージェントからかかってくる携帯電話の通話になると途端にわかりやすい英語になる。全くの私見だが、テリーは道中4カ国語を駆使していたと思っている。日本語、日本人向けの英語、標準英語、そしてダイアレクト(=方言英語)である。個人的には「G’day Mate !」(オージー特有の挨拶)を頻繁に聞けたのは初めてだったので、ちょっと嬉しかった。
「ケンナオコを知っているか?」(←顔マネをしながら)
テリーはなんと研ナオコや松方弘樹といった日本の芸能人のガイド経験もあるという。どちらもテレビ番組の企画だったそうだが、こういった撮影取材はクルーがあまりにも多すぎるのが難点だと話していた。確かに。魚へのプレッシャーの高さは容易に想像できる。
もちろん、日本のプロのアングラーとの交流も数知れず、スカジットデザインズの皆川哲氏は「テリージャークTerry Jerk」という名のルアーを作ったのは有名な話だし、エコギアの田辺哲男氏、シマノの村田基氏や児島玲子氏などともロケで釣りをともにしたそうだ。ちなみに、村田氏はメーターオーバーのスーパー・バラマンディをティナルー湖でゲットしているが、このときのガイドはテリーである。
テリー自身の記録魚を尋ねたところ、「ルアーで釣ったバラマンディは122cmがベスト。だが、計量しなかったのでポンドはわからない」と話してくれた。湖か? と聞くと「川で釣った」というから凄い。
テリーは12年前に日本にも来たことがある。逗子の友人宅に泊めてもらい、霞ヶ浦のバスや観光を楽しんだそうだ。しかし、アジの干物を「まずい」と言っていたのはショックだった。クサヤならともかく、どうも匂いがお気に召さなかったらしい。また、日本での滞在中、残念だったのはシーバス釣行が悪天候のため、急遽中止になったことだとか。確かに、このバラマンディ・ハンターには日本の素晴らしいターゲット、スズキの引き味をぜひ楽しんでもらいたかった。
◆旺盛なサービス精神
ボートの上では時折厳しいアドバイスが飛んでくるが、基本的にはノリがいいテリー。私がクイーンフィッシュを釣っておもわず「We are the champion♪」を口ずさむと一緒に歌い始めるし、前出の日本語で常にリラックスした雰囲気を作ってくれる。たぶん、魚の活性が高かったら、もっと凄いことになっていたかもしれない(笑)。
ただし、反対にストラクチャーにルアーを引っ掛けるなど、よろしくない状況で「マンマミーア!」と叫んでいたら要注意。結構なヴォルテージで頭にきている状態だったと私は認識している。ちなみにテリーの奥さんはイタリア系だ。
旺盛なサービス精神はボートを降りても変わらない。テリーはジョンストンリバーの帰りには必ず無人のバナナ販売所に立ち寄って、私たちに振舞ってくれた。オーストラリアではバナナは「釣果がすべる」ということで、ボートへの持ち込みも厳禁だし、釣りではバナナの話題すら敬遠されるという。
3日目の朝はしっかりバナナを食べてしまったから、スーパービッグが釣れなかったのはそのせいにしておこう。なお、この販売所は形の悪くなったものなど、商品として市場に乗せられない半端ものを売っている。なので、時にはひと房にダブルの変り種(写真右)もある。もちろん味は変わらないので、釣りの疲れを癒すのにちょうどいい。
カメラを向けるとすぐさまポーズを取るテリー。55歳。四人の子供の父(笑)。
◆肝はキャスティング精度
さて、バラマンディ・フィッシングにおいて最も肝要な部分はキャスティングの精度だろう。遠投は必要ないが、ピンポイントにルアーをキャストする技術を身に付けておかないと絶対に釣りにならない。そのことだけは保証できるし、換言すれば、ビギナーズラックを期待しづらい釣りともいえる。もちろん、ケースバイケースで高活性の時もあるだろうが、バラマンディは想像以上にタフなターゲットだということを認識しておいて損はない。それだけに、釣れたときの喜びは格別だし、シルバーメタリックの大物と遭遇できるチャンスは常に目の前にある。
トゥイッチングとストップアンドゴーなど、アクションを多用するのもこの釣りの大きな特徴だ。スローのタダ巻きはほぼあり得ないと考えていいし、キャスト後もいかにストラクチャーの際にルアーをトレースできるかが肝心となる。
テリーはルアーのチョイスに関しては、頑固な一面を持っている。特に今回は初対面だった上、コンディションも考慮されたからだと思うが、自由気ままにルアーを交換できる雰囲気にはならなかった。もちろん、はるばる日本からやって来たお客さんに絶対釣らせたいというガイドとしての強い意識の表れなのだろうが、この辺りは日本のアングラーとの温度差になる部分かもしれない。
個人的にはテクニック(元々ないが)の面で悩んでしまったのが「合わせ」だ。早合わせは禁物どころか、バイトがあっても魚の重みを感じるまでロッドを立てるなというのがこの釣りの鉄則。かといって、一瞬の判断を誤るとストラクチャーに潜られて、ジ・エンドとなってしまう。今回は初めてチャレンジした6年前以上に魚とのコンタクトが取れたからこそ、良いサイズを掛けた際のやり取りなどに少々迷いが生じたのは確かだ。ただ、この釣りのシビアな部分と奥の深さを改めて実感できたことは決して悪いことではないと思っている。
◆関連サイトのチェックは必須事項
今は便利なものでインターネットなどでも多くのバラマンディ関連サイトを検索できる。その中でも特に参考になるのが、テリーとの数々のエピソードを綴っている『疑似餌の玉手箱』のコンテンツ、「国内最詳バラマンディ情報HP」である。
これからバラマンディを釣りたいという方はぜひこのサイトをご覧いただきたい。テリーが日本の友人としても信頼を寄せるToshiさんの1998年から10年に及ぶ数々の釣行記は大いに参考になるはずだ。
今回のフィッシングガイドはバラマン爺こと永原斉さんのOutdoors Web Australiaを通じて依頼した。テリー・ホールマンが同社と取引を始めたのはごく最近のことで、私たちは「日本人では最初のカスタマー」(テリー)だったようだ。
後日、永原さんから「テリーからいいお客さんを紹介してくれたと感謝されましたよ」というメールが届いた。社交辞令でもうれしい限りである。なお、テリーは「近々“Fish Hunter”でドメインを取って、自分のWEBサイトを立ち上げたい」とも話してくれた。
2007年、ケアンズでの釣行記はこれにて了。
You will soon receive a CD that I sent you by air mail. The CD includes
more than 100 images for our 3 day tour. Many thanks for all your help.
Also thanks to Toshi Nagahara, who arranged wonderful staying in Cairns. My fishing tour in Cairns 2007 was truly successful, and now I find myself
that I miss Barramundi !
I hope you guys are all well, and see you again, probably on the water !
Cheers.