Tales of Boxing Legends
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香川照之のエッセイは、映画「あしたのジョー」の撮影日記をまとめたもの。丹下段平に扮した筆者は、生粋のボクシングマニアとして知られている。映画撮影時の苦労やエピソードが満載で、もう一度映画を観てみたくなった。
「拳の記憶」は、実に読み応えがあった。こちらは『Sports Graphic Number PLUS』、つまりナンバーの兄弟誌だからムック的な色合いになるのだが、広告が表2、3、4の3頁しかない。もっとも、これは震災の影響かもしれないが、全編にわたって制作側の気合が伝わってくる一冊といえるし、沢木耕太郎をはじめとする執筆陣による寄稿は全てハズレなしだった。その中で異色だったのは、直木賞作家・角田光代のロングエッセイ。輪島功一スポーツジムに通って10年になるという氏は、今回唯一プロではない素人の視点でボクシングの魅力を綴っている。同ジムは自分の通うジムと同じ三迫一門で、ワンツーから輪島ジムに移った会員さんも数名(その逆も)知っているから、よけいに共感する部分が多くあった。
そんなボクシング関連書を一気に2冊読み終えたところで、元WBA&WBC世界バンタム級チャンピオン、ライオネル・ローズが亡くなったことをオージーのツイッターで知った。享年62歳。ライオネル・ローズといえば、ファイティング原田、そして我がジムの会長・桜井孝雄を破った豪州の名王者である。Youtubeの映像は、桜井孝雄との一戦。2Rに桜井会長がローズからダウンを奪う貴重なシーンも収録されている。自分は残念ながら現役時はリアルタイムでは見ていないけれど、オーストラリアでは誰もが知る英雄だった。Lionel Rose, R.I.P.