Lost and Found
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9月某日の多摩川。潮位が下がる中、並んでウェーディングしていたBANZAIの佐々木さんが下手の私に声をかけてきた。しかし、そのせっかくのアドバイスが水泡と帰すのに時間はかからなかった。
ゴゴッ。ゴリゴリ。ルアーが水中のストラクチャーに引っ掛かる嫌な音がラインを通じて伝わる。「ヤバイ!」と思ったのも束の間、スローリトリーヴしていたカルマ130は魚ではなく、ガッツリ障害物にフッキングしてしまった。無念のロスト……。
8月には運河筋のポイントでカルマ100をロスト。この時は強い風を計算に入れなかった完全なミスキャストで、障害物にピンポイントで命中させてしまったのである。
いずれの場合も集中力が持続しないヘボ・アングラーならでは痛恨のミスだった。
ところがである。先月の中頃、またしても別のポイントで遭遇した佐々木さんから思いもよらぬ一言が返ってきた。「そうそう、ルアー、拾ったよ」。カルマ130はロストした日の深夜、潮位が下がった時間に回収したというのだ。そして、「(別の場所で)カルマ100も無くさなかった?」と佐々木さん。こちらの方はユーザーのMさんが見つけて回収。わざわざ工房に届けてくれたというから、二度びっくりである。
釣り場でルアーを拾ったりするケースはたまにあるが、高価なBANZAIとなれば話は別。私だったら間違いなく、自分の懐に忍ばせていただろう。
ちなみに、Mさんとは大昔に一度だけ、現場でお会いしたことがある。今回思いがけない形でお世話になり、本当に感謝感激。意外と(?)正直者の佐々木さんにもこの場を借りまして、厚く御礼申し上げます。