2月の試合以来となる堤英治選手(三迫)を応援に後楽園ホールへ。この日DANGAN52の興行は当初7試合が組まれていたが、うち2試合が選手のケガで中止に。そのためか、途中、日本チャンピオン同士(芹江匡晋VS天笠尚)による3Rの特別スパーリングが組まれ、各試合後は勝利者へのインタビューがあるなど進行はかなり余裕があった。ホールには、林和希(八王子中屋)VS酒井智彦(マナベ)両選手の第3試合途中で到着。場内大歓声の打撃戦は、判定で酒井選手に軍配が上がった。
そして、特別スパーリング後の第4試合。初のランカー相手に挑む堤英治選手はなんとアラブ人の装束で登場。久々のパフォーマンスで会場を盛り上げた。
今回の対戦相手は日本バンタム級第5位の船井龍一(ワタナベ)選手。今勢いに乗る26歳で、戦績は21戦16勝(10KO)5敗。全日本新人王で堤が敗れた柘植雄季選手(駿河)にKO勝ちしている。「(同じジムの)竹中さんのようなうまい選手で、しかも拳がメチャクチャ硬いらしいです」とは、試合数日前に会った際の堤君のコメントである。間違いなく、これまでで最強の相手だろう。
しかし、堤ファン期待の一戦は残念至極な結果に…。7R1分51秒、レフェリーストップによるTKO負けとなってしまった。1Rは互角のスタートも、リズムが狂ったのは2Rだった。低い姿勢からボディー狙いの左を出したところに、船井選手の右が軽く命中。ダメージは全くなかったものの、両手をついてしまった。
続く3R以降、堤は積極的に攻めるものの、攻撃防御ともに隙のない船井選手は主導権を決して渡さない。一方、堤も強打で一気に形勢を逆転できる力は残っていた。それだけに、最後まで固唾をのみながらの展開ではあったが、客観的にみて総合力で相手が一枚上だったことは認めざるを得ない。最後の7Rは連打を浴びて、ロープを背負ったところで、レフェリーが割って入った。
堤君本人にとって「夜も眠れない」敗戦だったろう。しかし、全く歯が立たないといった内容ではなかったし、船井選手は今回が22戦目。まだ10戦にも満たない堤のキャリア不足は明らかだった。意外なことに堤は今回が初めての8回戦。スタミナ面は問題なかったし、後ろを向く必要など全くない。これで7勝(4KO)2敗となった堤選手。近い将来のランク入りへ向け、ぜひとも再起への道を歩んで欲しい。
この日、DANGANにしては客の入りが寂しいと感じたが、試合そのものは好試合が多かった。メインの56.0㎏契約ウエイト8R、日本スーパーバンタム級2位中島孝文(ドリーム)VS和氣慎吾(古口)選手の試合は、ランカー入りに燃える和氣選手が前半は圧倒。しかし、4R以降、中島選手が地力を見せ始め、最終ラウンドには豪快な右で和氣選手からダウンをゲット。和氣選手もよく反撃したが、3-0で中島選手が勝利を収めた。リーゼントが似合うサウスポーの和氣選手は、三迫の竹中良選手のかつてのジムメイト。敗れたとはいえ、素晴らしいスピリットは感動ものだった。
<追記>英治の敗因が分かった。チケット捨てようと思って見返したら、堤「秀治」になっているじゃん。11日は別人だったということで…。