Obituaries for Two Nice Fellows
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一人は高校時代の同期生H君。
すごく真面目だったH君とはその友人Nを通じて、遠い昔何度か一緒に遊んだことがあった。が、残念なことに2年ほど前、非業の死を遂げていたことがわかった。合掌。
もう一人は昔のバンド仲間だったIさんである。
半年ほど前にガンに侵されていたことが判明し、先週末、天国に旅立った。56歳だった。
月曜日のお葬式に参列した友人によると、Iさんは当初自覚症状がまったくなかったのだという。しかし、妙に体が痩せ始めたので病院で診察してもらったところ、末期のガンと分かったのだそうだ。
Iさんは知り合った当時30代前半で、広告会社のアートディレクターとしてバリバリの頃だった。180センチを超える長身、口ひげを生やした年長のIさんに対し、20代の若造だった私は初対面ではちょっと緊張をしたのを覚えている。しかし、一見怖そうなタイプに見えたが、実際はすごくやさしい方だった。
一緒に組んでいたバンドの名はSpookyといった。ARS(=Atlanta Rhythm Section)というサザンロックバンドの著名曲がその由来で、実際に何度か行ったLIVEでもレパートリーにしていた。
バンドではドラムを担当していたIさん。もちろん趣味の域を出ないそこら辺のアマチュアに過ぎないが、確か2~3年は一緒に活動していたはずだ。仕事を終えて、徹夜で初台あたりのスタジオにこもった日々が思い起こされる。もうちょっと真面目に練習すればよかっただとか、色々なことも……。
私をバンドに引き入れた友人もIさんとは20年以上は会っていなかった。その友人曰く、遺影には少しばかり年輪を重ねたIさんの姿があったという。それにしても、こうした訃報を耳にすると、もう一度会いたかったと思ってしまうのが人間の身勝手さだともつくづく思う。
古いアルバムを探してもなぜか、当時の写真は見当たらなかった。やはり、それはバンド名(=幽霊)のせいなのだろうか? かろうじて残っていたのが、ホーム用ビデオに収められたいつかのLIVEの模様だった。でも、これを見るのはもっと時が経ってからにしよう。Iさんの笑顔を今は思い出してしまうから。