Two part series of the latest Clint Eastwood Films
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今日は久々に映画の話を書いてみたい。
年末に『Letters from Iwo Jima』(邦題:硫黄島からの手紙)を、正月の3日には『Flags of Our Fathers』(邦題:父親たちの星条旗)を観てきた。
元々戦争映画が嫌いな家人は、最初に封切りされていた『父親たちの星条旗』に関しては頑として拒否反応。が、『硫黄島からの手紙』については少しばかり興味を示したので、うまいこと説得して映画館へ。結局は「二部作だから仕方ないか」ということで2つとも観ることになった。
順序は逆だったが、内容的にはおそらくどちらから観ても違和感はないだろう。あえて比較すると、戦闘シーンそのものは『硫黄島~』のほうが多かったように思うが、残酷度はむしろ『父親~』のほうに分があったかもしれない(あくまでも個人的な見解)。とはいえ、アメリカ側から見た硫黄島の戦いを描いた『父親~』は予想よりもずっと地味な展開だった。ドキュメンタリー的な手法で、英雄に祭り上げられた主人公たちの苦悩、そして、プロパガンダの実態をイーストウッドは実に淡々と描いている。
『硫黄島~』はイーストウッド本人が言うように、まさに日本映画。やはり、全編に渡って日本語で展開されていることで、よりストーリーに入ることができた。
話がずれるが、昨年のアメリカ行きの機内で見た『The Fast and the Furious Tokyo
Drift』(邦題:ワイルドスピード×3 Tokyo Drift)も日本を舞台(もちろん、こちらは現代)にした映画だった。こういった米国資本の映画に登場してくる日本人は多くがチャイニーズや香港系(例えば、ジャッキー・チェンもその昔日本人役でハリウッド映画に出ていた)。この『Tokyo~』も重要な脇を固める日本人はご他聞に漏れず、どう見てもジャパニーズではない顔つきだった。ヤクザの親分はSony Chibaこと千葉真一だったが……。やはり、こういったキャスティングはある程度の英語力がものを言うのだろうか。
そういった意味ではイーストウッドの『硫黄島~』は渡辺謙を始め、普段から見慣れている役者が揃っていただけでなく、アメリカで選ばれたキャストの多くもアメリカ在住の日本人俳優たちだった。アジア人を一緒くたに考えるアメリカ的な大雑把さとは一線を画す、こういったこだわりもイーストウッドならではものではないだろうか。
脇役で印象に残ったのは、二宮和也演じる西郷陸軍一等兵の同僚・野崎一等兵役の松崎悠希だった。全く知らなかったが、色々と調べてみるとロスアンゼルス在住のコメディアン兼俳優とのこと。いずれ日本でもブレークするかもしれない。ちなみに家人は元憲兵隊のエリート士官役の加瀬亮が良かったと言っていた。
もう一つ。『硫黄島~』はモノトーンの映像に深く沁みるテーマ音楽が素晴らしかったことも付記しておこう。
『Mystic River』『Million Dollar Baby』も然り。限りなくヘビーでいて、次回作が早くも待ち遠しくなる。それがクリント・イーストウッドの作品である。