Champion Carnival
|
本日のお目当ては常日頃からお世話になっている和田さんと金原さんが出場するダブルタイトルマッチである。いや、ダブル云々というより、この日はチャンピオンカーニバルだけに全13試合がタイトルマッチ(もしくは王座決定戦)というおやじファイトの豪華版。他の試合も興味深いカードが揃っていた。
さて、第1試合は11時半頃からスタート。第5試合までの前半で個人的に見所十分だったのは、第5試合のOFBヘビー級タイトルマッチだ。元東洋ジュニアミドル級チャンピオンの柴田賢治選手(56歳)と挑戦者・高田正人選手(49歳)の一戦は、見た目のメタボ体型とは裏腹の好試合で、現役時から技巧派で鳴らした柴田選手の判定勝ちだった。プロレスラーのような体型で正直どうか?と思った高田選手も善戦。王者のボディ攻撃によく耐えていた。
そして、いよいよ第6試合。チャンピオンの小山洋一選手(42歳)に和田“株で大損火の車”剛選手(44歳)が挑戦するR-40フェザー級タイトルマッチは、間違いなくこの日屈指の好カードだった。
1Rは和田選手が気負い気味。アグレッシブに攻めるものの、逆にサウスポー、小山選手のパンチが何度かヒットして、和田選手がやや劣勢だった。私を含めた和田応援団は一瞬ではあるが、緊張が走ったに違いない。しかし、豊富な練習量に裏付けられたスタミナ、そしてスピードとセンスに優る和田選手は、これまでおやじファイトでは負け知らず。ほぼ1年前、OFB(おやじファイトでは元プロクラスで争われる格上戦)フェザー級のタイトルマッチでは、元プロの東洋1位と引き分けた実力者である。
続く2R。相手の攻撃パターンが読めたのか、エンジンがかかった和田はこの回の終盤、的確なヒットで王者からスタンディングダウンを奪い、一気にポイントを挽回。そして、最終3Rにはさらにパンチが決まりだし、またもスタンディングながら王者・小山からダウンを奪うや、応援メンバーのボルテージは上がるばかりだった。最後は王者も意地を見せて挑戦者の攻撃をなんとか凌いでゴング。
続く第7試合、R-60ライト級タイトルマッチでは、同じナックルジムの岡崎公冶選手(63歳)が挑戦者の村川周一選手(60歳)にまさかの敗戦。この試合は本当に驚いた。開始ゴング直後、サウスポー、岡崎選手の出した右ジャブに合わせた村川選手の右が出合がしらにヒットして、王者が硬直したままダウン。KOタイムは1Rわずか12秒で、岡崎選手は脳震盪を起こしたらしく、リングに倒れたまま微動だにしない。しばらくして、何事もなかったかのように岡崎選手が立ち上がり、会場からは拍手が送られたが、一瞬事故発生かとドキッとするシーンではあった。
さらに第8試合もシニア同士。R-50フライ級タイトルマッチは、王者“チョイワル・グランパ”大江戸次郎選手(59歳)とピューマ幸也選手(55歳)の再戦である。前回は空手師範代の大江戸選手が、体ごとぶつかるような強引な左右フックを駆使してピューマ選手を圧倒して王座へ。しかし、今回は挑戦者に転じたピューマ選手が初回から気迫十分に打ち合いを挑み、1Rから3Rまで白熱の攻防が展開された。両者応援団の大声援が場内に鳴り響く中、栄冠をつかんだのはピューマ選手。王者の攻撃にカウンターでの応戦が見事に決まり、2度のスタンディングダウンを奪っての判定勝ち。日本タイトルにも2度挑戦経験がある元日本ランカーのテクニックを見せた一戦となった。
ちなみに、この日はさすがにチャンピオンカーニバルだけあって、会場はほぼ満員だった。ここまで8試合、ずっと立ち見での観戦だけに、まさに疲れが出始めたそのとき、Yさんからの携帯が鳴り、空席へと誘導してもらったのはとても助かった(お礼は何も出ませんが)。
両者のボクシングスタイルはまるで正反対だった。頭を低くして猪突猛進しながら、大振りの右フックを繰り出す大谷選手に対して、金原選手はオーソドックスのフォームから左右ストレートで応戦。お互いに距離感の合わない試合になったのは確かで、特に金原選手は、接近戦を挑む相手に対し、持ち味の右ストレートを生かしきれなかったのは否めなかった。それだけ、相手陣営も研究してきたといえるのだが、これが実戦の難しさでもあるのだろう。果たして判定は…。
***
この日も会場や宴席で「Tさん、出ないのですか?」と複数の方に振られた。というわけで、どこまでできるかが未知数ではあるが、来年は自分もリングに立てるよう頑張ってみたい。つまり……風邪なんぞひいている場合ではない、ということですね(笑)。