ZINGARO BATTUTA
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4年前、初来日時の演目「ルンタ、風の馬」は、チベットの僧侶たちとのコラボレーションによる幻想と神秘の世界。高い芸術性を十分に体感できたものの、正直、難解な内容ではあった。しかし、バルタバス率いる「ジンガロ」は、まさに宣伝文句どおり、唯一無ニの騎馬スペクタクル。昨秋の時点で「ジンガロ」の新作が再び観られると知って、今回は奮発して18,000円のギャロップシートを購入していた。
さて、今回の最新作「バトゥータ」に関しては、全く予備知識を持たないまま臨んだが、面白さは前回以上。単純明快で分かりやすい構成の上、ルーマニアのジプシー・ミュージシャンたちが奏でる音楽も素晴らしかった。そして、演者たちの騎乗技術にはただ驚嘆するばかり。わずか5mほど前を疾走する馬を軽々と御する騎乗者たち。そのアブミや脚の使い方を目を凝らしてみていたが……凄すぎる。これはギャロップシート(私たちは前から2列目。時折砂が飛んでくるため、最前列では用意周到にゴーグル持参の方もいた)ならではの醍醐味だった。
少々残念に感じたのは、1900名弱の会場の入りが5~6分だったこと。平日ということもあるのかもしれないが、円形劇場の上段には空席が目立った。また、会場は演出の都合で(というより一般常識として)写真撮影は禁止されている。にもかかわらず、フラッシュを焚くバカどもが数名。係員に注意されて、フラッシュなしでもしつこく撮影を試みるアホもいた。
公演が終わりに近づき、出演者たちと出演馬たちが勢ぞろいし始めると、隣の嫁は「えー、もう終わっちゃうの」とつぶやいた。そんな1時間10分ほどのスペクタクルだった。
「ジンガロ」の公演はこの後3月26日まで続く。馬好きな方、特に一度でも乗馬体験のある方は必見だ。関係者でもなんでもないのだけれど(笑)、たくさんの人に観て欲しいと感じた公演は久しぶりだった。